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今回は「精力剤」についてお話ししましょう。

精力剤とは

皆さん精力剤と聞くとどんなイメージを持っていますか？
「夜の営みの時に疲れない」「体力が若いころと同じくらいになる」「性欲が増す」「即効性がある」といったイメージを持たれる方が多いのではないでようか。
おおむね、そのイメージは間違っていません。
精力剤とは、主に更年期以降における男性を対象とした、性機能増強のための薬剤及び一般食品の俗称で大きく分けて医薬品に類されるものと、それ以外の食品（サプリメント、健康食品や清涼飲料水など）がありあます。

簡単に言うと「肉体的な疲れ」や「精神的な疲れ」を軽減する「医薬品」や「食品」を総じて、精力剤と呼んでいます。
大抵が男性に対してのみ使われますが、なかには「女性の精力剤」というものもあり、その場、その場で使い方が変化しています。
医学的には、40歳を過ぎた頃から起こる精力の低下は、男性ホルモンや女性ホルモンの低下が原因の１つとして考えられています。
女性だけでなく、男性でも更年期障害（LOH症候群）が起こることが分かっており、やる気がなくなる、行動力がなくなる、慢性的にだるいなどの精力減退の要因となっています。

そんなお悩みを解決するのがいわゆる精力剤というわけです。
では、精力剤にはどんなものがあるのでしょうか？

精力剤の種類

精力剤には大きく分けて医薬品とサプリメントに分かれることはすでにお伝えしましたので、どういったものが精力剤と呼ばれるのか書いていきましょう。

医薬品としての精力剤

ドラックストア等で購入できる「にんにくエキス」や「マムシドリンク」、「スッポンドリンク」なども、効果・効能として滋養強壮を謳っており、精力剤として利用されていますね。

にんにくの効果

にんにくの効果は皆さんが知っている通り疲労回復や滋養強壮などの効果の以外にも、総コレステロール値およびLDLコレステロール値を下げる効果や高血圧の改善効果、動脈硬化の予防、血液サラサラ効果、抗ガンの作用、免疫力を高める作用、殺菌、抗菌など多岐にわたります。
そのため、精力剤として用いられることが多いのですが、生のにんにくをそのまま食べると効果が強すぎるため、胃が荒れたり、下痢になったりするので、加熱したものや加工したものを飲むようにしましょう。

マムシやスッポンの効果

「マムシドリンク」や「スッポンドリンク」が精力剤として使用される理由は栄養が豊富に含まれるためです。
マムシはタンパク質を構成するアミノ酸が豊富で、なかでもタウリン、メチオニン、チロシン、グルタミン酸は神経の高ぶりを抑え、血圧の正常化にはたらいてくれます。
スッポンも必須アミノ酸をはじめ、コラーゲンやリノール酸、ビタミンB群、カルシウム、鉄などが豊富に含まれています。

こういった栄養素が不足していると元気がなくなり、やる気などが起きなくなります。
そのため、「にんにくエキス」や「マムシドリンク」などを飲むと一時的に元気になるわけですね。ただ「マムシドリンク」や「スッポンドリンク」は医学的な根拠は乏しく、医薬品として取り扱われることはありません。「にんにくエキス」には男性更年期に効果を示す可能性が示唆されています。（ビタミンBとして後述）
また、男性更年期障害（LOH症候群※後述）改善薬として、メチルテストステロンという成分が医薬品として認められています。
このメチルテストステロンを使った医薬品には、内服薬と軟膏剤（グローミン）も医薬品として承認されておりますが、 どちらも薬剤師がいる薬局からでないと購入出来ない第1類医薬品に分類されます。

サプリメントとしての精力剤

ビタミンB群をはじめとするビタミン類、亜鉛・鉄などのミネラル類、アルギニン、シトルリンなどのアミノ酸の他、マカなどの植物から抽出されたものを有効成分として、サプリメントなどで販売されており、これらも精力剤として扱われています。

ビタミンBの効果

ビタミンＢ群は基本的に、炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に働き、ほとんどのビタミンB郡は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらく元気の素となります。逆に言うとこの栄養素が不足すると疲れが溜まりやすくなります。

鉄・亜鉛の効果

鉄は必須ミネラルといわれる重要な栄養成分で人間の体内に3～4gほど存在するといわれており、その約7割が血液中にある赤血球のヘモグロビンの構成成分となっています。
亜鉛も必須ミネラルのひとつで、主に細胞分裂や新陳代謝、タンパク質の合成、免疫活性化のほか、精子や髪の毛の原料にもなります。

アルギニン・シトルリンの効果

アルギニンやシトルリンには筋肉の増強、骨の強化、疲労回復を早める、怪我からの早期回復、生殖機能の改善、勃起力のパワーアップ等の効果が期待できます。また、筋肉疲労により発生した「アンモニア」を肝臓で解毒し尿素に作り変えたり、疲労物質でおなじみの「乳酸」を減らしたりする効果があるので、筋肉痛を軽減させたり、疲労回復にも効果があります。

マカの効果

マカにはアルギニンをはじめアミノ酸が16種類含まれており、その他成分カルシウム、鉄、タンパク質、亜鉛もバランス良く、一緒に摂取出来る事から健康維持や美容、老化予防、老化病や生活習慣病などの病気の予防改善、身体の健康サポートに適しており、精力剤としての効果はかなり期待できます。
さて、マカに多く含まれるアルギニンですが、先にも軽く述べましたがこれは成長ホルモンの分泌を促し、若返りの効果が期待できます。アルギニンの医学的研究にはノーベル医学・生理学賞が授与され、その効果のほどは医学データによっても裏付けられていますね。
精力剤として飲用する場合も、バイアグラのように、局地的に元気にするのではなく、身体全体を元気にし、その結果強精、勃起に繋がる仕組みです。また、マカは天然の天然のバイアグラといわれるほど精力増進に効果があります。

なぜ性欲が減退するのか

精力減退の原因を心が弱っているからだと考える方が多いですが、実は加齢による血流低下や、ホルモンバランスの変化など内分泌異常が、大きく関わっている場合が多いのです。
テストステロンと呼ばれる男性ホルモンの急激な低下によって起こる倦怠感や、イライラは「男性更年期」と呼ばれるもので医学的には「LOH症候群」と呼ばれます。
この「LOH症候群」ですが、40歳以上の男性ならば誰にでも起こる可能性があります。
もちろん若い方でも、普段から強いストレスを感じている方では、男性ホルモンの急激な低下が起きている場合もありますが。

こういったホルモンバランスが崩れることによって「やる気が出ない」「体が慢性的にだるい」「大切な用事を忘れてしまう」「性行為が面倒」といった症状に苦しむことになります。
これらの症状を改善するために、不足してるホルモンや、栄養素を医薬品やサプリメントで補給出来るように作られたものが男性向けの精力剤です。

「LOH症候群」とは

「LOH症候群」とは簡単に言うと、加齢やストレスその他の病気によって、男性ホルモンの１つである「テストステロン」の体内での分泌量が低下し、「やる気の減退」「記憶力の低下」「筋力の低下」「勃起不全」「性欲減退」などが起こる症状です。
その症状の改善にはテストステロンなどの男性ホルモンを正常に戻してやる必要があります。

「LOH症候群」に対する亜鉛の効果

「LOH症候群」には亜鉛やビタミンBの摂取が効果的と言われています。
テストステロンは通常、毎年1％ほど低下し続けますが、亜鉛の摂取で血中のテストステロン値が維持できることが分かっています。
日本国内での亜鉛摂取推奨量は成人男子で10mg/日とされています。
一般の方の推奨量が10mgですからLOH症候群で悩んでいる方はより多く摂取してやる必要が出てきます。
「LOH症候群」の人には厚生労働省で30mgまでの摂取を、アメリカだとなんと50mgまでの摂取を推奨しています。
体格の差があるとはいえアメリカはかなりの量の摂取を推奨していますね・・・。
話しが少しそれましたが、亜鉛が多く含まれる食材・食事には「牡蠣」「からすみ」「ビーフジャーキー」などがあります。
しかし、食事だけで亜鉛を補うのは難しいため、亜鉛のサプリメントなどできちんと摂取してやることが大事です。

「LOH症候群」に対するビタミンBの効果

アリシンという成分があるのですが、この成分がテストステロンの分泌を促すとされており、ニンニクや玉ねぎに多く含まれています。
ただ熱に弱いため、熱するとビタミンB１と結合して「アリチアミン」という成分に変わります。
このアリチアミンにも、テストステロンを上昇させる効果があると考えられており、アリシンより簡単に摂取することが出来ます。
何故ならこのアリチアミンは「アリナミン」すなわちビタミンBのことでサプリメントとしても販売されているからですね。
ビタミンB群は水溶性のビタミンのためすぐに尿と一緒に排泄されてしまうので、食事でもビタミンBを摂ることを心がけつつサプリメントでも不足分を摂取することがLOH症候群の対策として大事になってきます。

以上の事から、男性は亜鉛やビタミンBのサプリメントを摂取することを強くお勧めしており、当クリニックでもお取扱いしています。

女性向けの精力剤とは？

女性向け精力剤として現在あるものは、ドラックストアなどで販売されている「女性向け栄養ドリンク」や「女性向け栄養サプリメント」、「ビタミン剤」などですね。
こちらも医薬品に分類されるものと、サプリメントに分類されるものがあります。
女性の慢性的な疲れや疲労感、やる気低下の原因のほとんどが鉄分不足といわれています。
女性特有の体質の為ですが、生理によって、毎月、鉄を多く含む大量の血液が失われるため鉄分不足になりやすいのです。
また、鉄の吸収率は他の栄養分に比べかなり低く、月経で失われた鉄分を普段の食事から補うのは、なかなか難しいです。
そのため、女性をターゲットにしている精力剤・栄養剤は大抵、鉄が多く含まれています。
鉄は、赤血球を作る大切な成分のため、不足している人が補給すると、疲労感やイライラが大きく改善される可能性があります。

また、女性も更年期障害というものがあり、大体40歳を過ぎたあたりから皆さん悩まされるようです。
女性の更年期治療には、処方箋用医薬品を用いて、女性ホルモンを補充する方法（HRT)がありますが、その容量調整は非常に難しく、専門医の指導が不可欠です。
ちなみにアメリカやヨーロッパなどの諸外国では、より副作用の少ない「ナチュラルホルモン(NHRT）」を使った治療も行われているようです。

最後に

さて、精力剤に関しまして色々と書かせていただきましたが、亜鉛やビタミンBなどのサプリメント系精力剤の多くは疲れた時にだけ飲めばいいというものではなく、毎日の積み重ねが大事になってきます。
また、ネット等で誇大に煽るような文言で売られているサプリメントや薬がありますが、そういったものの中には本来、混じっていてはいけない成分などを混ぜて、さも効果があるように見せかけているものもあります。
中には精力回復を謳ったサプリメントであるにも関わらずバイアグラの主成分「シルデナフィル」を含んだサプリメントというものもありました。（詳しくはこちらの医薬品成分(シルデナフィル及び類似成分)が検出されたいわゆる健康食品について）
そのサプリメントも粗悪で腹痛を起こすなどの症状を訴えた人もいるほどです。
そういった粗悪品を買わない為にも、信頼できる医療機関やドラッグストアなどで購入するようにしましょう。

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